城北組練馬十一ケ寺の備災の取り組み

2013 年 8 月 26 日

arai_s 城北組練馬十一ケ寺では、共同で備災に取組んでいます。十一ケ寺の元世話役でこの事業に中心的に関わった仁壽院 副住職 荒井岳夫上人にお聞きします。


Q,今回倉庫を建築し備蓄を始められたとの事ですが、その経緯についてお聞かせください。
11kaji_s 十一ケ寺は、西武池袋線・大江戸線の豊島園駅近くの十一の浄土宗寺院の総称です。関東大震災後、昭和の初めに浅草より移転して来ました。バス通りから参道に入ると、両側に、迎接院、本性院、得生院、九品院、林宗院、稱名院、受用院、仮宿院、宗周院、快楽院、仁壽院が並んでいます。参道奥は突き当たりで、中央に阿弥陀様をおまつりし、周りが墓地となっています。十一の寺院がありますので、お彼岸、お盆、休日など、相当な人出となります。

 十一ケ寺では、互いの親睦と地域貢献を図ろうと、十一会を組織しています。任期二年二ケ寺ずつ、交代で世話役をつとめます。快楽院御住職と当方が世話役となった平成二十三年一月、墓地に共同で参拝施設を建てようとの声が高まっていました。昭和初期から続いた墓地の花屋さんが引退され、新たな整備が課題となっていたからです。お花やお線香を準備する場所や、トイレも必要と、プロジェクトチームを作り、計画を練りました。

三月十一日、東日本大震災が起こりました。十一ケ寺は、小さな石灯籠が折れたり、墓石が弛んだり、本堂の壁にひびが入るなどの他、特別大きな被害はありませんでした。ido_s しかし、報道で知るだけでも、被災地の状況は誠につらく、日毎に厳しくなる現実に誰もが途方に暮れたのではないでしょうか。三月末、被災地支援から帰ったご住職から「寺が地域の役に立たないでどうする」「水や食料を備蓄する防災倉庫を作ろう」「井戸やトイレが役に立つ」との話もありました。こうした中で、急遽、防災倉庫の検討が始まったのです。墓地では、昔ながらの手押しポンプの井戸が今も現役で、区の防災井戸にも指定されています。

 建築業者と十一会で打合せを繰り返し、防災倉庫のある参拝施設「阿弥陀堂」の建設が決まりました。十一ケ寺の法然上人八百年大遠忌記念事業となりました。完成は平成二十四年五月、東日本大震災から一年二ヵ月後のことです。備蓄は同年秋より始めました。

Q,倉庫の広さや、内装はどのようになっていますか。
souko1_s 阿弥陀堂の一部が倉庫になっており、床面積は12.42㎡です。天井には天窓があり、日中は電灯を使わないで済むようにしています。また自然に換気できるようダクトを設けてあります。棚は、壁に沿って、全長3.6m、奥行き60cmで三段に設けてあります。行事で使用する法具類と、防災備蓄品を入れています。入口は通常施錠してあり、世話役の二ケ寺が鍵を管理しています。

Q,備蓄品の種類、量についてお聞かせください。
souko2_s 現在の備蓄品は下記の通りです。まずは、様々な防災ガイド等を参考に、百人あまりが初期三日間をしのげるであろう、水と食料、簡易寝袋を用意しました。十一ケ寺各寺で、寺族分の備蓄はお願いし、参拝者や、一般の方々に配布できるよう考えました。賞味期限のあるものは、切れる前に各寺院に配布し、倉庫は新たな品に入れ替えます。
・水(1.5ℓ×12本)×22箱 ・水(500ml×48本)×11箱 ・簡易寝袋×100個 ・非常用食料(ビスコ)×110個 ・防災用ヘルメット×50個

Q,今後この倉庫をどのように活用していかれるかを
  お教えください。

 備蓄については、更に検討しながら、救急箱、ランタン、乾電池、カセットコンロ、簡易トイレ、懐炉、アルファ米、即席めん、鍋、トイレットペーパーなどの購入を順次進める予定です。
一方で、いざという時にどう動くか、複数の寺院が集まっているが故の難しさもあろうと思います。防災組織づくりや、防災訓練について今後の課題となっています。

kannon_s ちなみに、十一ケ寺参道の阿弥陀様は、関東大震災の難を逃れて、浅草からこの地に移され、十一ケ寺の守護仏として安置されました。また新たに、東日本大震災物故者追善のために寄贈された慈母観音像もおまつりしました。十一ケ寺の歴史を思うと、大震災のことを考えざるをえません。今後も一層、備災、減災に力を注いで参りたいと存じます。

 以上、練馬十一ケ寺の備災についてお話を伺いました。寺院が連なる特殊な環境を活かして、倉庫を建築し、備蓄を始めるという新しい備災への取組みでした。

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