平成23年3月11日 午後2時46分
東日本大震災発生
・本尊阿弥陀如来像、
本堂、客殿、庫裏に被害なし。
人的被害もなし。
・直後、境内の墓石倒壊、
サオ石が回る、ずれる等
被害多数。
・墓地西側奥の擁壁(石垣)
の一部が崩落。
(↑写真・文:専念寺住職 布村伸哉上人)
「なんでこんなことが…」と呆然。これから一体どうなるのか、全く予想見当がつかず。
①3月11日
震災発生直後の状況
擁壁の先端より幅15メートルほどが崩落。石垣、ブロック、土砂で歩道と車道一部が埋まる。墓石5基、遺骨(骨壺)20霊が落下。
擁壁は区道に沿って約40メートル。坂道により下に行くほど高くなり、最高6メートルの高さ。大正3年に市電を通す為に市によって造られたものらしい。
既に100年近くが経過していたが、これまで特別に行政からの指導等はなし。上部は墓地になっており、他宗派寺院の墓地がブロック塀越いに隣接。
警察が来て道路は通行止めに。新宿区の職員も来る。
目撃証言から幸い人的被害はナシ。余震もあり、地盤が緩んでいることから、二次災害の危険があるので付近は立入禁止となった。




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②3月12日
震災翌日
新宿区が雨による二次災害を防ぐ為にブルーシートを被せて土嚢で押さえた。


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③4月12日~15日
安全確保と車両を通す為、新宿区が矢板(防御壁)を設置した。
墓石の修理については石材店に随時お願いして直してもらう。


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④4月28日
区道の車両通行止め解除(約一ヶ月半後)。
⑤6月9日
業者より複数の工法が提示され、検討の結果、擁壁修復はL型擁壁工法とする。
⑥6月21日
地盤が固まってきたので落下の危険性のある上部墓地周辺の墓石を移動、遺骨をカロートから回収(7基)。
落下した遺骨・骨壺をようやく回収し本堂へお祀りする。少しホッとする。
工期、経費、工事での墓石の移動、道路への影響等を検討し、工法を連続鋼管矢板工法へ変更。業者も変更。設計からやり直す。
崩落の危険性がある擁壁の残存部分(25メートル)も併せて修復することにする(ASWフーチングレス工法)。複数の業者により設計の見直し。
今後の安全性と経費等を考慮し、擁壁全面をASW工法にて修復することに決定。設計のやり直し。
⑦11月
工事開始。進めて行くにつれ地盤の問題等が発覚。工期が一ヶ月延長。
予定にはなかった近辺の墓石を当家檀家了承のもと16基移動。








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⑧平成24年5月11日(震災より一年二ヶ月)
擁壁修復完了。竣工式を行う。長いような早いような。




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⑨5月23日
專念寺崩落墓石並びに移動墓石の復元がすべて終了。
⑩7月5日
工事のため移動させて頂いていた隣接寺院の墓石復元が終了。
⑪平成25年1月31日
隣接寺院との境界壁(約25メートル)修復完了。

これにより震災関連復旧事業は一応終了。
しかし擁壁上部土地は盛り土のため地盤の沈下が激しく、数年間は定期的な土の補充と締め固めが必要とのこと。
行政(新宿区・東京都)からは“原則として所有者の責任である”として公的補償・補助は一切なし。
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「一刻も早く修復したい!でもできない!」
震災直後より連日、行政との話し合い、総代・石材店・有識者との相談、隣接寺院との折衝。業者との打ち合せに追われる。そうした中で様々な問題が顕現していった。
その中でも一番の問題は工法、経費の問題であった。専念寺としては簡単にご先祖の墓石や遺骨の移動はできないので、工事にあたり、隣接している寺院を含めて墓石・遺骨の移動を最小限にすることを最優先にお願いし、それに安全性・経費を含めて工法を業者に検討してもらった。
それぞれにメリット・デメリットあり相談を重ね、最終的にASW工法により修復することに決定した。その設計や役所の申請等にかなりの時間が割かれた。
さらに今回、残存している擁壁(約25㍍)についても、今後の崩落の危険が高いとの判断から、崩壊箇所と併せて全面修復することにした。工事についても実際に掘り起こしてみると地盤が脆弱であることがわかり、その対応に時間がかかることになる。
次々と状況が変わり、その度に総代・業者と打ち合わせを行った。
さらに隣接寺院との話し合い(墓石の修理、工事のための墓石の移動、境界壁問題等)は先方の希望により先方弁護士を通してのものとなり、急遽弁護士を紹介してもらい、その弁護士との打ち合わせも日々重ねる。
思い通りに事態が進行せず、もどかしく時間と日にちが過ぎていく状況。
近隣からは、どうして早く直さないのか?と苦情もたびたび。先代住職を含め精神的にもきつい日々であった。
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