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今月の法話≪東京教区所属の僧侶による法話を連載いたします≫

今月の法話 平成27年6月

2015 年 6 月 1 日

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「人生の修行の旅」


豊島明裕(八王子組 相即寺)






 人生の修行となる旅をしていきたいと思っております。
 善財童子という名前を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。この善財童子のことは華厳経というお経の中に書かれておりますが、文殊菩薩のお勧めによって、南方を遊行しながら五十三人の色々な境遇にある知識を歴訪して、教えを受け、最後には普賢菩薩によって、菩薩の道を究められたということです。

 つまり、五十三人の善知識の中には菩薩といわれる人をはじめとして、比丘、比丘尼、賢者、国王、王妃、漁師、商人、船頭、長者、童子、童女、ほか・・・さらにはパスミトラーという遊女も含まれているというところに大きな意義があると思っております。これらの訪問した人たちには、それぞれの自分の人生観や体験などを中心に語ってもらっています。

 旅をして、多くの人たちと接することを勧めてくださった文殊菩薩から、最後に教えをいただいた普賢菩薩まで五十五か所五十三人の人たちに教えをいただいたことになります。ちなみに北斎の絵で有名な東海道五十三次の由来は、ここからきているといわれています。

 話しは変わりますが、他宗の布教師の先生の話しになります。四国八十八か所、千四百四十キロを命がけで行脚された遍路記が当山にあります。この中で巡礼とは、世の中にはこれほど自由で、これほど世間離れをし、これほど清らかで、これほど今をありがたく思える世界は他には無いと述べられています。そしてさらには、血液が浄化され体質も改善され、人生観も変わると、その功徳を披露されています。

 今までの世界とは別に全く新しい清浄な法の世界が目の前に開けてくるのです。現代を忙しく生きる我々には巡礼などということは現実的ではありませんが、日常の生活とは違う場所で見知らぬ人たちと触れ合うことは大いに有意義であり、またそこから新しい発見、経験があり、そして学ぶことがあるはずです。

 人と接し、そこから善知識を得て悟りを開くことは途方もないことですが、当たり前に呼吸している空気ですら、良く澄んだ綺麗な地の空気を呼吸することで、その恩恵に感謝することができるかもしれません。また、とれたて野菜に舌鼓を打ちながら、生産して下さる方々への感謝の気持ちが芽生えるかもしれません。人間は一人では生きてゆくことは出来ないのです。浄土宗では共生(ともいき)をスローガンに活動をしております。どうぞ皆さんもどちらかへお出かけの際は、色々なものに接し、あらゆることやものの恩恵に感謝し、いつも誰かに生かされていることを実感してください。そして人生の旅の先にある、西方極楽浄土に心を馳せてみてはいかがでしょうか。合掌

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