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今月の法話≪東京教区所属の僧侶による法話を連載いたします≫

平成30年9月「心に笑顔をもって。」糸山真隆(城西組光照寺)

2018 年 9 月 1 日

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 28年前。私は、あるお宅のお誕生日会に呼ばれていました。海外では、子供のお誕生日会にクラウン(ピエロ)を呼んで盛り上がります。玄関先に「人は出会いで人生が180度変わる」というような額が飾られていたのを覚えています。何故こんな話から始まるかというと、その始まりを話さないと話は見えてきません。
 
 32年前の3月。私は、浄土宗大本山増上寺で3年間の修行を終え、実家の寺に戻り副住職として法務に専念するつもりでいましたが、その年の9月に「リングリングサーカス&バーナム&ベイリークラウンカレッジ」というサーカス学校の日本校に突然の入学、クラウンとなりました。

 このサーカスは、ヒュー・ジャックマンが演じたミュージカル映画『グレイテストショウマン』のモデルとなったものです。ご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。私が、なぜ180度も違う世界に身を投じたのか?それは、ただただ好奇心からでした。

 私がその学校で学んだこと、
 それは“All for you, it’s my pleasure”(すべては、あなたの為に、それが私の喜び)の精神です。私は、子供の頃から人見知りが激しく人前で何かをすることや話すことができませんでした。ところが、サーカス学校では、ジャグリングにバルーン芸、マジックにパントマイムなど、あらゆる基礎的技術を学び、それを実際に人前で試してみるのです。最初は、観客を喜ばせる技術も乏しく、当然笑いも起こらず拍手もありません。練習に練習を重ね何度もチャレンジしていると、度胸も据わりウケなくても動じなくなります。

 そのうちに、お客様が喜んでくれて笑顔も少しずつ増えてくると、その輪の中にいることが自分にとっての最大の喜びになっていきました。
「皆さんが素敵な笑顔を見せてくれるなら喜んでなんでもしますよ!」“All for you, it’s my pleasure”

 この学校の扉を開いたおかげで、人生の価値観が180度変わりました。私は、現在、住職と芸人との二足の草鞋を履いています。これは、とても極端な生き方かもしれません。しかし、私にとっての根底は同じです。人生に、ユーモアや笑いは不可欠。私は、サーカス学校に行って「笑顔の種」を、たくさん貰ってきました。

 皆様も同じように「笑顔の種」を心の中に、たくさんお持ちのはずです。優しさや思いやりを届けることでも人は笑顔になります。口角を上げて笑顔を作ることだけでも体内から幸福ホルモンのセロトニンが出てストレス発散に繋がります。笑うことによって免疫力もアップするといいます。女性に嬉しいのは美顔・美肌効果にもなるそうですよ。

 人を受けいれる時も、しかめっ面の人はいません。誰もが笑顔で人を迎えるでしょう。嫌なこと辛いことがあっても「明けない夜は無い」という言葉があるように、沈んだ心を「笑顔」という明るい灯で、あたたかく心を照らしてくれます。身近な人から始めて、そこから、たくさんの種を蒔いて、皆様が「笑顔大使」となって周りに笑顔の花を咲かせてゆきませんか。笑顔は、世界共通の言語です。笑顔のお花畑が広がると怒りや憎しみのない世界に一歩ずつでも近づくことでしょう。

 人は仏縁によって繋がり笑顔で人は癒される。

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