聖号十称
本会発足にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
大本山増上寺八木季生御法主台下より、本会報の題号『師子吼』を賜りましたことは光栄の極みと、先ず以てありがたく厚く御礼申し上げます。
さて、教区内にはすばらしい教師と寺院、すなわち人材と環境とがあります。
この教師と寺院、人材と環境とのネットワークを生かして、布教教化の輪を拡げることが出来たならば、檀信徒はもとより地域の人々に寺院と僧侶の存在感を示せるのではないでしょうか。
元祖法然上人が、あの平安から鎌倉へという歴史の一大転換期に、迷える人々のために法の灯火を掲げたように、混迷する現代に、少しでも明るさと温かさを取り戻してゆく核になりうるのではないか。
そのように考えますのは、私一人ではないと存じます。
申すまでもなく、浄土宗寺院の存在意義は、宗祖法然上人の選択本願念仏の法の灯火をあかあかと掲げるところにあります。
浄土宗教師の任務はお念仏を申し、人びとに阿弥陀さまの御本願をお伝えし、宗祖法然上人のお姿を伝えてゆくところにあります。
宗祖法然上人八百年大遠忌を迎えようとする今、この首都東京にお念仏の灯火を点さんとするネットワークを構築することができれば、どれほど法然上人が、また各寺院の歴代の諸上人方がおよろこびになられるでしょうか。そうした使命が現代を生き、未来を切り開く私たち浄土宗教師にはあると思います。
平成十九年四月十八日大本山増上寺慈雲閣にて開催されました会合の際に頂戴した貴重なご意見を取りまとめ、同年五月「浄土宗布教師会東京教区支部設立のための意見を頂く会報告」として、東京教区教区長へ提出させていただきましたことが契機となり、いわゆる「布教師さん」の会ではなく、全教師を対象とした「布教師会東京教区支部」設立への大きなうねりが起こりました。
まもなく十月には、各組組長ご推薦の代表の教師・有識者により、「浄土宗布教師会東京教区支部設立準備委員会」が組織され、「会則」「会費」「周知」「連携」の各小委員会を開設して会議を積み重ねると共に、計六回の「全体委員会」が土屋正道現教化団長を座長に開催されました。
その結果、名称を「浄土宗東京教区布教師会」として発足させることが正式に決議され、昨年五月二十九日には、「浄土宗東京教区布教師会設立実行委員会」へと引継がれ、その席で不肖正村が委員長に指名され、その大役を担うことになりました。
同年六月二十七日には、設立時の役員を見据えての「実行委員会役員」が決定され、その後計十一回の「全体委員会」また各「小委員会」を重ね、今日の日を迎えました。
平成二十一年四月一五日刊 『師子吼』第0号巻頭
平成23年2月28日 遷化