平成26年4月16日(水)、総会にあわせて研修会が開催されました。今回は「節談―日本語修辞のテクニック―」と題して浄土真宗本願寺派布教使・節談説教者谷口璽照先生にお話し頂きました。
先生のお話は主に以下のような内容について詳説してくださいました。
1,お説教の源流は平安時代にさかのぼり、澄憲や聖覚が家元のような存在であった。とくに安居院法印聖覚によって大成されたので、安居院流と呼ばれている。聖覚は天台宗の僧侶であったが、後に浄土宗に帰依したため、天台宗の声明の影響を受けながら、浄土宗、浄土真宗へと継承されていった。
2,節談説教の特徴は「伏見の酒は美味い(ふしみのさけはうまい)」という言葉によって表現される。「ふ」は節や抑揚、「し」は修辞学、「み」は身振り手振り、「の」は咽(声)、「さ」は讃題、「け」は結勧(ラストの七五調によるセリ弁)、「は」は笑い、「う」は受け念仏、「ま」は松原泰道和尚の布教テクニック、「い」は勢い。これらが節談をする上で重要な要素となっている。
以上の内容を踏まえた上で、節談をする際は聖典を持ち歩かずに暗誦しなければならない苦労を語ってくださいました。それは単に覚えておくことばかりではなく、聴衆の様子によって内容や語り口を選択していかなければならないのだそうです。随所に節談の実演も交えたお話しは大変興味深いものでした。