浄土宗東京教区教化団

平成25年11月「学びにおそき時はなし」窪川香薫(城北組長福寺)  

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  「学びにおそき時はなし」

  窪川香薫(城北組 長福寺)
 



 皆様こんにちは。私は今、きのうまでの風雨がうそのように晴れた秋晴れのおだやかな日差しの中にいます。しかし、伊豆大島では、十月十六日の未明、季節外れの強い台風二六号がもたらした豪雨による甚大な土砂災害が起こり、大勢の方々が被災されました。伊豆大島の皆様に心からお見舞い申し上げます。

 さて、私たちは日々の暮らしのなかで、知らず知らずのうちに自然の影響を受けています。時には自然が私たちの大きな脅威となりますが、自然が私たちに恵みをもたらすこともたくさんあります。秋晴れの空を見上げて伸びをすると、とても気持ちが良いです。天高く、の秋の大空を見上げると、自分が小さく見えてきませんか。かたや、大雨や強風で屋根や窓が鳴りひびいているとき、人は何と小さく無力だと感じませんか。自分ではどうしようもないことの多い世の中に生きている私たちです。

 法然上人をたたええる歌に次の言葉があります。
   浄土の教えを開かれた
   智恵第一のお坊様
   法然様をたたえましょう

 法然上人は長きにわたって勉学に励まれ、南無阿弥陀仏を私たちに残して下さりました。わからないことはあるのですよ、解決できないことはあるのですよ、心配いりませんよ、と、自然も人も理解し尽くされた法然上人が私たちにくださった、南無阿弥陀仏、です。皆様、南無阿弥陀について考えてみましょう。阿弥陀様に帰依します、と南無阿弥陀仏の名号をお唱えするとき、阿弥陀様はきっと私たちを見守って下さっていることでしょう。

 ところで、私は京都にある佛教大学通信教育課程に入学して浄土宗の教えを学びました。浄土宗のお寺に生まれましたが、大学で生物学を研究していましたので、四十歳を前にして佛教大学の学生となりました。普段は自宅で勉強しますが、夏休みと冬休みのそれぞれに、スクーリングがあり、佛教大学に通って授業を受けました。若者からお年寄りまで、学生さんたちは熱心に先生のお話しを拝聴していましたが、学生さんの中には八十歳を超えた方もいらっしゃいました。いくつになっても、学び始めの最初の一歩を踏み出すことが大切だと思いました。

 学びにおそき時はなし。これは浄土宗月訓カレンダーの10月の標語です。学ぼうと思うことに年齢制限はありません。いくつになっても学びたいと思うことは大切です。読書の秋、と申します。学びを始めてみませんか。

合掌