浄土宗東京教区教化団

平成30年12月「御縁をいただいて」三輪優順(城北組本性院)

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 私は浄土宗東京教区児童教化連盟の運営に携わらせていただいております。その御縁で毎年、城北組子供会のお手伝いにも参加しております。
 毎年、子供会が終わりますと、吉例によりまして反省会をスタッフで行います。その雑談のなかで、お手伝い頂いた看護師の方(以降Aさん)から、お話を伺うご縁を頂きました。「ちょっと、聞いてください。」と言ってお話を始められました。Aさんは、お勤め先の病院では(詳細な内容は省きますが)人間の尊厳に踏み込む様なたいへん過酷なお仕事をされております。日々、患者さんの看護は心理的にハードで非常に疲れるとのことでした。お話を伺っているうちに、何か力付けてあげなければと思い、拙い頭を巡らせていると、お檀家さんへ配るパンフレットに「四摂法」の話があった事を思い出しました。

四摂法(ししょうぼう)」=「四摂事」(ししょうじ)とは、 人々を救うために、人々をおさめて守る四つの行いです。
(1)布施 与えること。
(2)愛語 優しい言葉をかけること。
(3)利行(りぎょう) ためをはかること
(4)同事(どうじ) 協同すること   
*(中村元 著 『仏教語大辞典』東京書籍)より

 この話をAさんの話に当てはめると、看護の仕事は患者さんのことを考えて、和やかな顔で患者さんに接する「布施」、相手の気持ちを察して優しい言葉をかける「愛語」、患者さんのためをはかって心を癒す「利行」、患者さんに寄り添い相手の身になって協同する「同事」のような形で、看護の仕事は患者さんに寄り添い、心と体を癒す素晴らしい仕事です。

 頑張って下さいと声をかけて励まそうと思っていたのですが、Aさんは「お坊さん、こんな時はどうしたらいいの?」と言って私を見ました。私は『はっ』として、「お念仏をおとなえ下さい。南無阿弥陀仏と声に出せるときは声に出して、声に出せないときは心の中で。」と答えました。Aさんは、何か得心したようで「やってみます。来年も子供会の手伝いをしたいです。」とおっしゃって笑顔でお帰りになりました。

 この時、浄土宗宗祖法然上人の一枚起請文の『智者のふるまいをせずしてただ一向に念仏すべし』の部分が頭に浮かびまして、何か余分なことを言わずに、お念仏なんだと気付かせていただいた次第です。今回、このことでAさんに御縁をいただいて、自分が「はっ」として、お念仏を再度強く認識したことで、さらにいろいろな方々にお念仏を勧めて参りたく思いました。ありがとうございました。至心合掌 南無阿弥陀仏