浄土宗東京教区教化団

平成23年4月「大震災お見舞い・復興祈念」遠田弘賢(豊島組慈眼院)



「大震災お見舞い・復興祈念」

   遠田弘賢(豊島組 慈眼院



 3月11日午後2時46分に何の前触れもなく東北地方太平洋沖でマグニチュード9の巨大地震が発生。

地震と共に青森県から千葉県の太平洋沿岸に大津波が襲い先月末現在で犠牲になられた方、行方不明の方々は27000人を越えた。

 一家全員が流され警察や自治体に届け出のない方々を含めるとその数は計り知れないと報じられている。

 東京都内でもかなりの揺れを感じ鉄道や地下鉄も全線でストップ。

夕方からは街道筋には以前から予想されていた「帰宅難民」(会社や出先から自宅に帰れなくなった方々)があふれた。

 総本山知恩院伊藤唯眞御門跡はお見舞いのお言葉と共に長年に亘り元祖法然上人八百年大遠忌法要に向けて準備を進めてきたがこの未曾有の災害を鑑みると、今は被災された方々の復旧支援を最優先する事が、衆生救済を生涯にわたって説かれた法然上人の御心に適うとのお言葉を述べられた。

 浄土宗の総・大本山ではそのお言葉に従い一部中止や延期を決定。

大本山増上寺でも法然上人八百年御忌大会は一年延期の事となった。

東京教区でも長年に亘り平成二十三年の御正当にむけて準備を進めてきた。

 その一つがお別時等により八百萬遍を目標にお念仏をお唱えする法要事業であった。

 本年1月25日、御正当の日には増上寺大殿で法然上人八百年大遠忌八百萬遍念仏会が盛大に厳修された。

 そして増上寺での八百年御忌法要の初日である4月1日に教区あげての八百年御遠忌壇信徒大会別時大法要が予定されていた。

この法要も来年に延期された。

 皆様方の中にもご親戚やご縁のある方が被災されたり未だ避難所で大変な環境の中で過ごされている方もいらっしゃるのでは?

 寺院ではお彼岸やお施餓鬼法要の中で過去の戦争や地震・台風等災害で有縁・無縁を問わずお亡くなりになった方々への御回向をする。

 御法事(年回法要)の時にもその大事な部分(正宗分)の最後に年回法要を迎えたご先祖様の御回向に続き「願以此功徳 平等施一切 同發菩提心 往生安楽国」(願わくは此の功徳をもって、平等一切に施し、同じく菩提心をおこして、安楽国に往生せん)「総回向偈」と呼ばれる偈文を申し上げ有縁・無縁を問わず全ての霊位に対して御回向をする。

 皆様方もご自宅で朝夕のお仏壇へのお詣りの時はご先祖様だけではなくこのようなお気持ちで今時の大震災で犠牲になられた方々へのお念仏をお唱え頂きたい。

都内は激甚な被害はなかった。救援活動等も始まっているが犠牲になられた方々のご冥福を念じると共に一刻も早い復興を願っている。合掌